Marine Life Log

海で見た魚をイラストで綴る、海の生き物ログ

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エチゼンクラゲの天敵!ウマヅラハギさん

ウマヅラハギ

和名 ウマヅラハギ
学名 Thamnaconus modestus
分類 フグ目 - カワハギ科 - ウマヅラハギ属
分布 北海道以南、南日本、八丈島琉球列島;朝鮮半島、中国、台湾
生息環境 沿岸からやや気合に生息。200m以浅に見られる。
体長 最大36cm、一般17.5cm
その他 体は灰色で、体側全部に斜行帯、中央と後部に暗色横斑があることが特徴。成魚は小さな群れを作ることが多い。甲殻類を始めとする小型底生生物を食べる。小さなものは大きな群れを作り、クラゲ類をよく食べる。
山溪ハンディ図鑑 改訂版 日本の海水魚
 

和名の由来は

顔が面長で、馬面をしているカワハギということから、ウマヅラハギとなりました。漢字では「馬面剥」と書きます。

雄と雌の見分け方

形と色で、雄と雌を見分けることができます。

形に関しては、横から見た場合、頭の輪郭が雌では直線状、雄は少し膨らみます。色については、雌は雄に比べて体色の青みが強いのが特徴です。

また、成魚には明瞭な斑紋はありませんが、幼魚は不規則な雲形の暗色斑があります。

求愛時は色が変わる!

求愛行動中は雌雄ともに体色が鮮やかな青色になるそうですが、放卵・放精後、急速に不鮮明になってしまうようです。

求愛の繁殖期に見られる体色は婚姻色と呼ばれ、繁殖期に活発に分泌される性ホルモンのはたらきで発現すると考えられていますが、ウマヅラハギのこの場合もそうなのかもしれませんね。

キビレハギとの見分け方

背鰭と臀鰭は青緑色をしていて、よく似ているキビレハギ(名前の通り鰭が黄色い)と区別することができます。また、体色が黄色っぽいのがキビレハギ黒っぽくてたまに雲上の模様があるのがウマヅラハギになります。

その他の見分け方として、眼の上の棘の位置で見分ける方法もあります。

  • 目の上のトゲの前端が瞳の真上だと、キビレハギ
  • 目の上のトゲの前端が瞳の真上よりも後ろだと、ウマヅラハギ

エチゼンクラゲの天敵

エチゼンクラゲは傘の直径が2mもある大型のクラゲとして知られていますが、クラゲの触手で魚が傷ついたり、重みで網が破れるなど、漁師さん達の被害は深刻なんだそうです。

2009年から2010年にかけて福井沿岸のエチゼンクラゲの大発生に伴って、ウマヅラハギも大量に発生したことがありました。

ウマヅラハギは集団でエチゼンクラゲを襲うことが知られていて、石川県のカワハギ漁の漁師がエチゼンクラゲをウマヅラハギ漁の餌として実験して効果が確認されたりしています。

釣り方はコマセでおびき寄せ

関東エリアでは外道扱いされることもあるウマヅラハギですが、西日本では専用の遊漁船も出ているほどの人気ターゲットなんだそうです。

仕掛けについては、こちらをご参照ください。

旬は肝が肥大する秋から春

1年を通して味の大きな差は感じられず、産地により旬に関しては諸説あります。

福岡県では産卵に向けて肝が膨らみ真子を持つ5月~6月が旬とされていますが、この時期に産卵のため比較的沿岸の浅いところに集まり漁獲量が増えるからと考えられます。産卵時期は真子に栄養が行くため、身自体はやや痩せてしまうので、身の旬とは言えないでしょう。

身が美味しいのは夏の終わりから秋にかけてで、晩秋から春にかけては肝が大きくなり、この寒い時期を旬とする考え方もある。

食べ方は刺身、鍋、煮つけ、唐揚げ、塩焼き、干ものなど様々な調理法があります。

詳しくはこちらでどうぞ。

英語名はBlack scraper

Black=黒い、scraper=こすったり削ったりするものと言う意味があり、ザラザラの皮に由来していると考えられます。

中国語名は绿鳍马面鲀

绿鳍马面鲀(lǜ qí mǎ miàn tún)とよみます。绿鳍=緑色の鰭の、马面鲀=ウマヅラハギという意味になります、

台湾では、短角單棘魨(duǎn jiǎo dān jí tún)と呼ばれます。

その他、色んな国での呼び名はこちらをどうぞ!
Common Names List - Thamnaconus modestus