Marine Life Log

海で見た魚をイラストで綴る、海の生き物ログ

MENU

意外と寝姿がカワイイ!カワハギさん

カワハギ

和名 カワハギ
学名 Stephanolepis cirrhifer
分類 フグ目 - カワハギ科 - カワハギ属
分布 北海道以南、伊豆諸島、九州;朝鮮半島、中国、台湾
生息環境 沿岸の100m以浅の砂泥に生息。岩礁域にも現れる普通種。砂地で倒立して砂を吹き飛ばし、砂中の餌を探す。小型甲殻類、ゴカイ類、貝類などを食べる。
体長 最大30cm
その他 体側に暗色の縦斑が多数あることが特徴。雄の背鰭軟条は長く伸びるが、メスは伸びない(イラストは雄)。
山溪ハンディ図鑑 改訂版 日本の海水魚
 

和名の由来は

カワハギは全身が固くてざらざらした皮膚に覆われていて、この皮膚が料理で捌くときに、すぐに剥がせることが名前の由来となっています。漢字では「皮剥」とかきます。

「バクチ」とも呼ばれますが、皮がすぐ剥がれる様子が、博打に負けて身ぐるみ剥がされるさまを連想させるためだ言うことです。

寝姿がカワイイ

地味めな魚なのでダイバー人気は低めですが、特に幼魚の寝姿がカワイイことで知られています。

大人のカワハギは岩の隙間や、穴に入って角を立てて、つっかえ棒にして寝る事が多いようですが、下の写真のようにカワハギ幼魚が海草に吸い付くようにして寝ている姿は、可愛さ満点です。

 
 
 
この投稿をInstagramで見る

a035.0030(@a035.0030)がシェアした投稿

斑点が濃くなったりする!

興奮色なんだと思いますが、実際にダイビング中に体色が変わるのを見たことあるのはキツネフエフキです。

カワハギの黒色斑紋は非常に変り易く、個体差というよりは心理状態に関係するものだそうです。斑紋の有無は魚の群内における地位をある程度示していて、色が濃いものほど優位なんだそうです。

また、警戒・威嚇など興奮状態のときにも色が濃くなるので、興奮色でもあるのだと思います。

f:id:marinelifelog:20201203012519p:plain
1. Aの段階
これは劣位魚subordinateの平常の状態で体色は明るい淡黄禍色を示し,同色の巻雲状のむらがみられるが,黒色斑絞はなく,ときに僅かな黒色斑点を認める程度である。暗色では多少黄色味が減少し灰褐色味を増すが,やはり黒色斑絞は現われない。なお,B,C,Dの状態の魚を棒でおどかすと急速にAとなる。背鰭棘および腹鰭棘は倒れ,尾鰭は開いていない。


2. Bの段階
これは優位魚dominantの平常状態に特徴的な斑絞で“優位魚の表示”とも呼べるものであった。黒色斑紋がはっきり現われ,背鰭棘と腹鰭棘は僅か立ち,尾鰭も多少開いてくる。劣位魚でも観察者が急に接近したり,他の魚の威嚇を受けたとき瞬時この程度の斑紋を呈することもあるが極めて稀であつた。斑紋の濃さは常時多少変動している。


3. Cの段階

優位魚が警戒したとき,あるいは他の魚を威嚇しようとするときに現われる。また網ですくいあげたときは優位魚,劣位魚ともこの段階になった。
黒褐色の斑点は前後につながり長い帯状を呈し同時に頭部の下側から腹部にかけて細かな斑点が散在して出現する。吻の先端部,背鰭基部および鰓蓋の外縁部を隈取る黒色帯は特徴的である。背鰭棘と腹鰭棘は多少立ち,尾鰭は開く。


4. Dの段階

Cがさらに進んだmelanophore拡大の極限と考えられ斗争中に見られる。各斑紋が更に濃くなり,背鰭棘と腹鰭棘は一段と立ち尾鰭を全開する。

出典:日本水産学会 
岡市友利・階久雄・橋本芳郎「カワハギおよびアミメハギの体色変化」J-STAGE
https://www.jstage.jst.go.jp/article/suisan1932/24/6-7/24_6-7_389/_pdf(参照2017-9-25)

クラゲがめっちゃ好き

カワハギ類はクラゲが大好きで、大量発生したクラゲの対処法として有効利用できることがわかっています。カワハギは 1 日当たり体重の 4.1-5.6 倍のエチゼンクラゲを摂餌することで、生きていけるそうです!

ちなみに、エチゼンクラゲは大型のクラゲとして知られています。

釣り人がハマっちゃうほど、釣るのが難しい!

ヒレの形でなんとなくわかりますが、カワハギは泳ぐのは早くないかわりに、ホバリング能力に長けています。

ホバリングしながら、水中で静止して捕食できるため、釣り人が気づかないうちにエサをとられてしまうことがよくあり、餌取り名人の異名を持ちます。

釣り方は投げ釣りと沖釣りがあるようです。

詳しい仕掛けはこちらにありますので、ご参照ください。

なかには、釣ってきたカワハギを飼育する方もいるようです。

旬は身と肝の2回ある

カワハギの旬は身の旬と肝の旬の2回あります。

身が美味しいのは夏の7〜8月、肝が美味しいのは冬の11〜1月とされます。

春から夏にかけて産卵を終え、体力が回復した夏のカワハギは身がしまり歯ごたえが楽しめます。 秋から冬には再び産卵のために栄養を溜め込み、肝臓の肥大とともに肝が美味しくなり冬の旬をむかえます。

食べ方はこちらに詳しく載っています。

英語名はThreadsail filefish

Threadsailはthread=糸状の、sail=帆で、filefishはカワハギの意味になります。fileは「やすり」の意味で、カワハギの皮膚がザラザラしていることに由来しています。

中国語名は丝背细鳞鲀

丝背细鳞鲀(sī bèi xì lín tún)と読みます。丝背=細い背中、细鳞=細かい鱗、鲀=フグという言う意味になります。

台湾では絲背冠鱗單棘魨(sī bèi guān lín dān jí tún)と呼ばれます。また、鹿角魚(lù jiǎo yú)とも呼ばれます。

その他、色んな国での呼び名はこちらをどうぞ!
Common Names List - Stephanolepis cirrhifer