日本では「百魚の王」マダイさん
和名 | マダイ |
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学名 | Pagrus major |
分類 | スズキ目 - スズキ亜目 - タイ科 - マダイ属 |
分布 | 北海道以南〜東シナ海;朝鮮半島南部、中国、台湾 |
生息環境 | 成魚は大陸棚の水深30〜200mの岩礁域や砂礫底に生息。主に、甲殻類、貝類、イカ、小魚などを捕食。幼魚は内湾や沿岸の藻場、砂礫底に多い。 |
体長 | 最大100 cm、一般30cm、最大体重9.7kg |
その他 | 古来より、海の魚の王として珍重され、祝事や神事に重要な役割を果たしてきた。 |
体色は紫がかった淡いピンクで、体側に瑠璃色の小さな斑点があります。若いうちは不明瞭な横縞が現われていて、成熟するにつれ消えて行きます。
キダイやチダイと似ていますが、尾鰭の縁が黒いことで見分けがつきます。
タイの名前を持つ魚は非常に多く、タイ科でない魚もいますが、マダイはいわばタイの中のタイであり、「鯛」といえば狭義にはこの魚を指します。
なんちゃらダイと言う名前の魚はたくさんいるのですが、正真正銘のタイ科のお魚は実はそれほどおおくありません。
日本には、キダイ、キビレアカレンコ、ホシレンコ、マダイ、チダイ、ヒレコダイ、タイワンダイ、クロダイ、キチヌ、ミナミクロダイ、ナンヨウチヌ、オキナワキチヌ、ヘダイの13種が生息しています。
和名の由来
和名の由来は諸説あります。
平魚(タイラウオ)が変化した説
平安中期の律令の施行細則がまとめてある「延喜式」の中で鯛を平魚とも記載されていることから、体型が平であることを意味する平魚(タイラヲ、またはタヒ)に由来すると言う説。漢字の読み方として、平=タ、魚=ヒは妥当で、代表的な国語辞典である「大言海」も採用している説。最も有力な説と言われています。
目出度い魚(メデタイウオ)が変化した説
赤い色は古来より「邪気を払う色」とされ、縁起のいい色とされていました。
また、鯛は魚の中でもかなり長生きで、長生きの鯛であれば40年は生きることから、長寿への願いも込められています。また、味も形もよく縁起のいいおめでたい席に振舞われる「目出たい魚」が変化したとも言われています。
ただし、一般にはタイを縁起物にする理由として「めでたい」との語呂の一致をあげることが多いので、「めでたい」を語源にするのは無理がありそうです。
道味(トミ)が変化した説
朝鮮半島において「道味(トミ)」と呼ばれていたのが、日本で「タイ」に変化した言われており、奈良時代までに多くの帰化人が渡来していることが根拠とされています。
マダイの骨が縄文時代の遺跡から出土していることを考えると、その呼称も日本で誕生したと考えるのが自然で、古事記において鯛を「赤海鯽魚=赤いチヌ」としていることから、帰化人の渡来以前は「赤いチヌ」と呼ばれていて、帰化人渡来後の時期にチヌから独立した名称である「タイ」が出現した可能性も説として捨てがたいようです。
魚の王様を意味する「大位(タイイ)」に由来する説
後漢時代に編纂された中国最古の漢字字書『説文解字』に「鯛を海の王者「大位(タイイ)」とし、鯉を川魚の王者とする「小位(コイ)」と書いてあるのが由来と言われていますが、鯉の語源として「小位」を採用する研究者はあまりいないようです。
神前で食材に直接手を触れず、右手に庖丁、左手にまな箸を持ち、切り分けて食べる包丁式においては、鯛または鯉が使われていて、魚の中で鯛と鯉が別格であったことは明らかです。
なぜ「百魚の王」と呼ばれるの?
室町時代までは、鯉が魚の王と呼ばれており、お祝い事や儀式でも鯛ではなく、鯉が用いられることが多くあったようです。
江戸時代になると、魚は専ら海のものが食され、将軍家でも鯛が喜ばれ「大位」と当て字をされもてはやされていたそうです(当時、海から遠い京都では鯉が宮中で食され「高位」などと呼ばれていた)。
江戸時代に入って鯛に変わった理由は、旧体制のしきたりを変えたかったことや、徳川家康が好物(家康の死因が鯛の天ぷら説もある)だったことなど諸説あります。
鯛が「百魚の王」と呼ばれるようになったのは、下記のような要因が挙げられます。
- 七福神の一人である恵比寿さんが持っている。
- 「メデタイ」との語呂合で出来縁起が良い。
- 形の良く味も良い。
- 古代から邪気を払う色とされてきた赤い体色。
- 40年生きることもある魚の中でも一際長寿の魚。
鯛は日本では珍重されていますが、日本の文化や風習と密接に関係していると言うこともあり、世界の別の地域では必ずしも高級魚ではありません。
「鯛」と言う漢字の由来
魚偏に周と書きますが、「周」の意味を考える必要があります。
海洋生物研究所では、下記の2つの説を紹介していました。
- 「周=あまねく」であり、鯛が日本のどこでも捕れたため
- 周の字に扁平の意味があり、鯛の体型が扁平であったから
と言う説があるようです。
鯛も性転換します
性転換する魚は珍しくないですが、鯛もその中の一つです。
タイ科は、ベラ科やハタ科と並んで、最も早くから雌雄同体現象が知られた草分的なグループで、赤色系のタイは雌から雄に、クロダイなどの黒色系のタイでは雄から雌に性転換する事が判っています。
マダイでは、4歳まで両性生殖腺を持つ現象がみられ、2歳頃に多くが雄へと性転換するが、成熟するとほぼ半数づつの雌と雄になります。台湾産のマダイでは、産卵後にメスがオスに変わるが、全部一変にオスに変わるのでなく、各年齢別群のどれにもメスがいる。一生オスに変わらずメスのまま過ごす「生涯メス」もいるようです。
雄と雌の外見の差はあまりなく、見ただけで判別するの難しいようですが、春の時期になると、オスの方が黒みがかった赤色、メスは桜のような鮮やかな赤色になるので、大分わかりやすくなります。
海老で鯛を釣るは本当
鯛は雑食性ですが、特に甲殻類を好む傾向にあります。
鯛は、動くものなら何でも食べる雑食性の魚ですが、とくに殻の固い甲殻類を好む傾向にあります。鋭い歯でエビや蟹などの甲殻類の硬い殻を噛み砕きます。
鯛の歯は獲物を捉えて噛み切る「犬歯」と、人間の奥歯のように食物をすり潰す「臼歯」で構成され、高い密度で並んでいます。大型の鯛の場合は、釣り糸がかみ切られることも珍しくありません。
沖釣りで釣れます
基本的には沖釣りが多く、寄せエサ釣りやテンヤを使うエビエサ釣り、ルアーの一種であるタイラバなどで釣るそうです。
もちろん美味しくいただけます
捌き方はここに詳しく写真付きで載ってますので、是非ご参考にされて下さい。
旬は秋から春で、お刺身、焼き魚、煮付け、鯛めしなど、様々な方法で楽しめます。また、白子と真子も煮付けや塩焼きにすることができます。食味レビューや調理法はこちらで詳しく紹介されています。
鯛中鯛(たいのたい)とは?
マダイの骨には鯛の形をしている「鯛中鯛」という骨があります。
ほとんどの硬骨魚にこの骨がありますが、鯛の中にあるもの、とりわけマダイのものが最も形が美しいのと、何れの魚の場合もこの部分はその魚ではなく鯛に似るためか、どの硬骨魚のこの部分も「鯛の鯛」と称する
胸ビレの付根にある、肩帯を構成するいくつかの小骨の一つで、鳥啄骨(うがいこつ)と呼ばれます。昔は、粋すじの女性が財布の中や帯のあいだに忍ばせ、お守りとしたそうです。
英語名はRed seabream
Redは赤い、seabreamはタイ科の海水魚の意味になります。
金目鯛の方がよっぽど真っ赤ですが…
鯛の体色が赤い理由は、深度が深い海で暮らすため。太陽光の中の赤い光は波長が長く吸収されるので、赤が黒く見え、外敵から身を守る保護色となるというのが理由の一つです。
中国語名は真鲷
真鲷(zhēn diāo)と読みます。日本語と同じです。
メジャーな魚すぎてあんまり捻りがないですね。
その他、色んな国での呼び名はこちらをどうぞ!
Common Names List - Pagrus major