Marine Life Log

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【永久保存版】海で気をつけるべき危険な海洋生物まとめ【その他海洋生物編】

f:id:marinelifelog:20200908140646j:plainダイビング目線強めでお届けして行きますが、ここでは海で気をつけるべき危険な海洋生物をご紹介していきます。

魚類編はこちらよりどうぞ!

それでは張り切って行きます!

軟体動物

アンボイナ(イモガイ類)

海の殺し屋の異名を持つ猛毒

Cone géographique

イモガイの仲間は、紀伊半島以南に分布していて、10cmくらいの長さの円鐘形をしていて、細い三角形のような網目模様が特徴です。

その中でも特に沖縄で「ハブガイ」の異名をとるアンボイナガイが体内に持つコノトキシンという神経毒はコブラの2倍と言われるほど強力。

刺されても痛みはなく、すぐに体がしびれ始めるので、溺れないよう周囲に助けを求めて一刻も早く海から上がり応急処置を施し、医療機関を受診して下さい。生息域が広く、浅瀬に出てくることもあるので注意が必要です。

通常のダイビングやスノーケリングでこの貝を見ることはほとんどありませんが、磯遊びなどで貝を持ち帰ろうとして刺されることがあります。

【対応策】

イモガイと思われる形態の巻貝を見かけても、決して触らない。

【応急処置】

①助けを求め、起立・歩行が可能な間に陸へ上がる。
②噛まれた場所よりも心臓に近い場所を縛り、毒が全身に廻るのを防ぐ。
③毒は飲み込むと危険なので、患部周辺を押したり、絞り出すようにして毒を出す。
④早急に医療施設へ。

ヒョウモンダコ

青いリング模様は警戒色

Hapalochlaena lunulata2

こちらもダイビングよりは磯で噛まれる危険性が高いです。10cmほどの手のひらサイズのタコで岩礁サンゴ礁に生息しています。タコの仲間には唾液腺から毒を分泌し、カニなどの餌となる生きものを麻痺させて捕食するものが知られています。

ヒョウモンダコの咬毒にはフグ毒と同じテトロドトキシンを含んでおり、青酸カリの一万倍以上の毒性を持ち、数分で人を死に追いやります。

普段黄土色から茶褐色をしており海底の岩に溶け込んだような色をしていますが、刺激を受けると腕に青くリング状の斑紋が浮かび上がります。

これは警戒色で、敵に自分が有毒生物であることを知らせ、威嚇します。咬まれても最初は特に何も感じないですが、噛まれると呼吸困難、痙攣、意識不明、死亡例もあります。90分以内で死亡する率が高いのも特徴です。

【対応策】

岩の亀裂などにはうかつに手を入れない。
動きまわっている小さなタコを見つけても触らない。
タコを捕獲しても、網に入れて腰からぶら下げたりしないこと。
ヒョウモンダコは沖縄には少なく、奄美周辺に多いようです。

【応急処置】

①すぐ陸に上がる
②噛まれた場所よりも心臓に近い場所を縛り、毒が全身に廻るのを防ぐ。
③病院への搬送まで数時間を要する場合は、噛まれた場所を切開し毒を出す。
④毒は飲み込むと危険なので、患部周辺を押したり、絞り出すようにして毒を出す。
⑤安静にして直ちに病院へ搬送する。
⑥呼吸状態、脈拍をよく観察し、必要なら人工呼吸、心臓マッサージを行う。

爬虫類

ウミヘビ類

陸に生息する蛇よりもさらに強力な毒

Laticauda colubrina Lembeh2

爬虫類のウミヘビはコブラ科に属し、牙に猛毒を持っています。一方魚類のウミヘビはウナギ目ウミヘビ科に属し毒はありません。

一般的にウミヘビはおとなしい性格の持ち主で、向こうから攻撃してくることはほとんどありません。

口が小さく、口の奥に毒の牙を持つ為、指などの細い部分でない限り噛まれても毒が注入されにくいですが、ハブの10倍の神経毒と筋肉を溶かす筋肉毒を持っています。

痛みは少ないですが、30分~1時間30分で全身症状が現われ、手足の筋肉痛、運動障害から始まって寒気、発汗と悪化し、呼吸筋が麻痺し呼吸停止に至るケースもあります。

【対応策】

種類の見きわめが非常に難しいので、基本的に手出しはしない。
見掛けても騒いだり捕まえたりしない。

【応急処置】

①助けを求め、起立・歩行が可能な間に陸へ上がる
②噛まれた場所よりも心臓に近い場所を縛り、毒が全身に廻るのを防ぐ。
タンニン酸にはウミヘビの毒を中和させる作用があるので、濃い紅茶や日本茶で傷を洗浄することも効果的
④病院への搬送まで数時間を要する場合は、噛まれた場所を切開し毒を出す。
⑤毒は飲み込むと危険なので、患部周辺を押したり、絞り出すようにして毒を出す。
⑥安静にして直ちに病院へ搬送する。
⑦呼吸状態、脈拍をよく観察し、必要なら人工呼吸、心臓マッサージを行う。

甲殻類

モンハナシャコ

パンチ力はベンチプレス70~80㎏相当

Odontodactylus scyllarus

モンハナシャコはサンゴ礁や砂底に生息していて、ダイビングでは岩陰などから顔を覗かせる姿をみることができます。

臆病な性格なので、ダイバーの姿を見ると巣穴に隠れるか、さっと移動して別の穴に隠れます。

しかし、時速80キロ・ベンチプレス70~80㎏相当のパンチ力を持っていますので、興味本位で無理に近づいて触らないようにしましょう。簡単に爪を割られたり、指の骨を骨折したりします。

パンチの加速は体長15cmの時点で二十二口径の拳銃に匹敵。

貝や蟹を砕いて中身を食べるため、そのような強力なパンチ力が備わっています。

ダイビング中にマスクや水中カメラのハウジングを割られるなどの事例があります。

【対応策】

見つけても無闇に触らない。

【応急処置】

①傷口をきれいな真水で洗う。
②消毒用アルコールで消毒する。
③出血している場合は清潔なガーゼなど圧迫止血する。
爪を割られたときなどは、二次感染で化膿しないように注意する。
④骨が折れている可能性がある場合は、早急に医療施設へ。

刺胞動物

ハコクラゲの仲間

世界で最も危険なクラゲ

Avispa marina cropped

熱帯ではハブクラゲ、本州付近の箱クラゲの仲間は、夏に沿岸で増えてくるアンドンクラゲがよく知られています。

ハブクラゲやアンドンクラゲは透明で水中を漂っているので発見が難しいです。

一度クラゲに刺されると抗体ができ、アナフィラキシーショックというアレルギー反応を引き起こしやすくなりますので十分に注意が必要です。

切れた触手が流れてきて刺される場合もあるので、クラゲの被害を防ぐにはラッシュガードやウエットスーツなどを着用して、肌の露出部分を減らすことが重要です。

ハブクラゲの場合、刺された瞬間に激痛が走り、絡み付いた触手部分はミミズ腫れになり、6時間ほどで水疱に変化し、組織が壊死し始めます。重症ではショック症状(筋肉ケイレンや呼吸困難)を起こし、死亡することもあるそうです。

【対応策】

地元の人に出没場所を聞く。
ラッシュガードやウエットスーツなどを着用して、肌の露出部分を減らす。
クラゲ侵入防止ネットが設置してある海水浴場で遊泳する。
クラゲ防止ネットには、切れた触手が絡まっている可能性もあるので触らない。
見かけても近寄らない。

【応急処置】

①更に刺胞が発射されるため、刺された場所をこすらない。
海水で触手を刺胞を刺激しないよう優しく洗い流し(真水で洗うと浸透圧で毒が体内に回るため)、確実にハコクラゲの仲間とわかる場合のみ付着した触手に食酢をかけ、素手以外の方法で取り除く。ハコクラゲの仲間以外のクラゲに酢をかけるとかえって逆効果になる
③患部に消毒液を塗り、冷やすか、40℃以上のお湯で温める。
温めるとクラゲ毒のタンパク性毒を抑える効果があり、逆に冷やすと血管を収縮させ、痛みや腫れを和らげます。温めることで悪化するクラゲの種類は存在しません。
④呼吸困難になった場合、ライフセーバーを呼ぶなどして人口呼吸。
⑤重症の場合、病院に搬送する。

カツオノエボシ

刺されると電気のような強い衝撃、別名「デンキクラゲ」

Physalia physalis EM1B0679 (40827501481)

電気クラゲとも呼ばれますが、厳密に言うとクラゲではなくヒドロ虫の仲間です。1個体に見えるのは、実は多くのヒドロ虫が集まって形成された群体です。

私にはどうしても青い透明の餃子形の風船にしか見えません。

大きさ約10cmの透き通った青い浮袋で海面に浮いています。海面下に伸びる触手は平均10m、長いもので約50mになります。

こちらもクラゲ同様に一度刺されると抗体ができ、アナフィラキシーショックを引き起こしやすくなりますので十分に注意が必要です。

切れた触手が流れてきて刺される場合もあるので、ラッシュガードやウエットスーツなどを着用して、肌の露出部分を減らすことが重要です。

カツオノエボシの場合、刺された瞬間に激痛が走ります。触手が絡んだ部分は腫れ、水疱ができる。頭痛、吐気、呼吸困難、引きつけなどを起こし、死亡例もあります。

【対応策】

地元の人に出没場所を聞く。
ラッシュガードやウエットスーツなどを着用して、肌の露出部分を減らす。
浮遊物に不用意に触らない。
見かけても近寄らない。
陸に打ち上げられた死んだ個体でも、数週間は刺胞が活きていることがあるため、触らない。

【応急処置】

①更に刺胞が発射されるため、刺された場所をこすらない。
海水で触手を刺胞を刺激しないよう優しく洗い流しながら、素手以外の方法で取り除く。(真水で洗うと浸透圧で毒が体内に回るため、酢は逆効果)
③患部に消毒液を塗り、冷やすか、40℃以上のお湯で温める。
温めるとクラゲ毒のタンパク性毒を抑える効果があり、逆に冷やすと血管を収縮させ、痛みや腫れを和らげます。カツオノエボシの毒は温めることで悪化しません。
④呼吸困難になった場合、ライフセーバーを呼ぶなどして人口呼吸。
⑤重症の場合、病院に搬送する。

イソギンチャクの仲間

ウンバチイソギンチャクはイソギンチャク最強の毒

Actinodendron arboreum Landaagiraavaru

全てのイソギンチャクは、魚などを捕まえるための刺胞毒を持っています。しかし、ほとんどの種では人間に影響を与えるほどのものではありません。

その中でも強い毒を持つとされているのは、ウンバチイソギンチャク・ウデナガウンバチ ・ハナブサイソギンチャク・スナイソギンチャクなどが挙げられます。

イソギンチャクのもつ毒は、クラゲの仲間と同様に刺胞毒で、触手に触れることで刺胞から毒針が発射されます。

刺されると激しい痛みや水疱、長く続くかゆみが生じ、症状が重いときは皮膚の壊死や吐き気、筋肉痙攣が起きます。

【対応策】

ラッシュガードやウエットスーツなどを着用して、肌の露出部分を減らす。
不用意に触らない。

【応急処置】

①船上か陸地へ上げる。
②刺された部分はこすらず、海水で刺胞球を洗い流し、食酢や消毒用アルコールで消毒。(真水で洗うと浸透圧で毒が体内に回るため)
(ただしウンバチイソギンチャクやウデナガウンバチには酢は逆効果)
③氷や冷水で冷やす。
④早急に医療施設へ。

アナサンゴモドキの仲間

触れると火傷したかのような痛み

Millepora, dactylozoides

ほとんどのサンゴ類は刺胞毒を持つちますが、アナサンゴモドキの仲間は特に強い毒があります。種類によって枝状、板状、被覆状など形は様々で、やや黄色っぽかったり茶色っぽいのが特徴かと思われます。

英語ではファイヤーコーラルと呼ばれ、触ると火傷をしたような痛みに見舞われます

手のひらなどの皮膚の硬い部分では毒が注入されにくいですが、手首など柔らかい部分は特に注意して下さい。

【対応策】

ラッシュガードやウエットスーツなどを着用して、肌の露出部分を減らす。
グローブが使用可能な地域ならば着用し、無闇に触らない。
ダイビングの場合はきちんと中性浮力をとる。

【応急処置】

①患部は擦らない。
②刺された箇所に食酢や消毒用アルコールなどを流れるようにたっぷりかける。
抗生物質の軟膏を塗る。
④皮膚症状がひどい場合、痛みが激しかったり、吐気を催した場合は病院で手当てを受ける。

ガヤの仲間

一見海藻に見えるが、刺胞動物で強い刺胞毒

Aglaophenia cupressina

シダ植物や羽のように見えますが、れっきとした刺胞動物で、触手を持つポリプで構成されています。珊瑚礁の浅瀬等に生息しています。

症状は個人差があり、多くは刺された箇所に赤い腫れが生じ、痛みと痒みを伴います。ひどく刺された場合、稀に吐気や発熱を起こすこともあります。

【対応策】

ラッシュガードやウエットスーツなどを着用して、肌の露出部分を減らす。
グローブが使用可能な地域ならば着用し、無闇に触らない。
グローブなどに付着しているのを知らないで肌を触ると、刺されるので注意が必要。
ダイビングの場合はきちんと中性浮力をとる。 

【応急処置】

①患部をこすらず刺胞除去する。
②刺された箇所に食酢や消毒用アルコールなどを流れるようにたっぷりかける。
抗生物質の軟膏を塗る。
④痛みや皮膚症状がひどい場合は病院で手当てを受ける。

棘皮動物

オニヒトデ

大量発生時のイシサンゴ食害で有名

A. planci profil

オニヒトデは夜行性で、大量発生時以外の昼間は珊瑚や岩陰に隠れています。大発生時以外は、サンゴ以外の藻類、魚種なども食べているようです。

ビーチサンダルなどは簡単に貫通するほど鋭く、刺さった棘はウニと同様に折れやすく抜けにくいので十分注意しましょう。

刺されると激しく痛み、患部が壊死することも。死亡例もあります。

また、アナフィラキシーショックを起こすこともあるので、過去に刺されたことがある人はとくに注意が必要です。

【対応策】

オニヒトデから刺しに来ることはないので、不用意に手を出さない。
ダイビングや遊泳中、海底や岩に手足をつくときには、周りをよく注意する。

【応急処置】

①傷口から慎重にトゲを取り除き、毒素を絞り出して真水で洗い流す
②消毒用アルコールで消毒する
③刺された所を約45℃のお湯に60分前後つけて毒素を中和する
④早急に医療施設へ

ガンガゼ

折れやすく長い棘に注意

Sea Urchin in Shedd Aquarium (Chicago, IL) 28Nov07

夜行性のガンガゼは光が苦手で薄暗いところを好むため、昼間は岩のくぼみなどに集団で剣山のように集まっています。

長い棘には毒があり、とても脆く刺さるとすぐに折れてしまいます。また、棘はノコギリの歯のように返しがあるので抜けにくい構造になっています。

刺されると強い痛みがおこり、大きく腫れます。

【対応策】

磯遊びの際は、底が硬く足首まで保護される靴を履く。
見つけても絶対に触らない。ゴム手袋やウェットスーツも貫通するので、素手でなくても触らない。
ダイビングの場合はきちんと中性浮力をとる。
ダイビングや遊泳中、海底や岩に手足をつくときには、周りをよく注意する。
珊瑚や岩の下、消波ブロック等の隙間に不用意に手を入れない。

【応急処置】

素手で触れないよう、傷口から慎重にトゲを取り除き、真水で洗い流す
②刺された所を約45℃のお湯に60分前後つけて毒素を中和する
抗生物質の軟膏を塗る
④早急に医療施設へ

ラッパウニ

ウニには見えないラッパ状の棘

Toxopneustes pileolus à découvert

一見ウニには見えませんが、ラッパのような珍しいトゲを持つウニの仲間です。このトゲは叉棘(さきょく)と呼ばれ、刺激を受けるとベンツマークのように折り畳まれ噛みつき、毒が注入されていきます。棘は谷折りになっている箇所にあります。

針よりも長い管足と呼ばれる器官があり、管足に海草やサンゴ片などをつけ、体表を着飾っている時もあります。カモフラージュのためだと考えられていますが、人間から見えれば隠れきれていないので、すぐにラッパウニだとわかります。

ラッパウニ類の毒は人によって影響の出方が異なり、全く何ともない人もいます。刺されても痛みはあまり感じませんが、アレルギー反応を起こして体中が腫れ上がり、呼吸困難になることもあるので注意が必要です。

【対応策】

無闇に触らない。
靴底の固いものを着用する。

【応急処置】

素手で触れないよう、傷口から慎重にトゲを取り除き、真水で洗い流す
②刺された所を約45℃のお湯に60分前後つけて毒素を中和する
抗生物質の軟膏を塗る
④早急に医療施設へ

環形動物

ウミケムシ

毛虫にそっくりだがゴカイの仲間

Tayrona Diving 7

ウミケムシは海底の石の下や砂の中に潜っていることが多く、頭部のみを砂上にのぞかせていることもあるようです。夜は活発に行動し、海中を泳ぐそうで、泳ぐ速度は比較的速いそうです。

ウミケムシの毒のある剛毛は、普段は後ろに向けて寝かせていますが、刺激を与えるとパッと毛羽立てます。

毒のある体表の毛に触れると、痛みや痒みがあり、患部は大きく腫れて水疱に変化します。痛みや痒みは1週間程度続きます。 

【対応策】

①釣れた場合は、素手で触らない。

【応急処置】

①擦らない
②毛を素手で触らないようにし、セロハンテープかガムテープで取り除く
③アルコールで消毒し、抗生物質の軟膏を塗る。
④症状が酷い場合は病院で手当を受ける。

 

以上、いかがでしたでしょうか?

できるだけ入念に調べてまとめましたが、足りない部分もあるかもしれません。

間違っている情報などありましたら、ご指摘ください!