Marine Life Log

海で見た魚をイラストで綴る、海の生き物ログ

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食べると尻から油が出る?アブラボウズさん

アブラボウズ

和名 アブラボウズ
学名 Erilepis zonifer
分類 スズキ目 - ギンダラ科 - アブラボウズ
分布 北太平洋:日本とベーリング海から米国カリフォルニア州モントレーベイまで
生息環境 幼魚は表層に漂っている流れ藻などについて生活しているが、成長とともに深場に移動し、成魚は水深200~400m程の岩場などに生息。しかし、水深680m程のところでも見られるほか、伊豆大島では水深約1000m程の深さにも生息していると言われており、垂直方向の生息域はかなり広い。
体長 最大体長183cm、最大体重91kg
その他 肉食性で、群れで生活し、魚類や甲殻類、軟体動物などを食べるアブラボウズは深海延縄や底引き網などで獲られ、食用に利用されている。旬は冬期と言われているが、名前は、深海性のため脂肪分が多いことから付けられていて、多量に食べると脂分を消化しきれず、下痢や腹痛などを起こすこともあるので注意が必要。

和名の由来は?

漢字で書くと「油坊主」「脂坊主」。 字のごとく多くの油(脂)を含んでいることが由来です。

深海魚であるアブラボウズさんは深海の水圧に体が押しつぶされないように、浮き袋を持持っていません。その代わりに、体内にワックス(多量の油分)を蓄えて水圧から耐えています。

日本ではいろんな場所で釣れるお魚で、いろいろな地方名で呼ばれます。その中でも有名なのが「オシツケ」という名前です。

この名前の由来は、昔アブラボウズさんの料理を毒見する毒見役達が料理をお互いに押し付けあった様に起源があるとされています。面白いですね。

ちなみに、ワックスは垂直移動の激しい魚に多いといわれているそうです。

若魚は体色は暗い灰色ベースで体表に白い斑点を持っていますが、成熟すると斑点は消えて、濃い灰色の魚体になります。

静岡の沼津港深海水族館で生きているアブラボウズさんをみました。

体脂肪率約40%の超メタボ

筋肉の脂質含量が約40〜50%(腹部では50%近く)にもなるのですが、その脂肪はトリグリセリドと呼ばれる脂質で、いわゆる中性脂肪です。

トリグリセリドを構成する脂肪酸は、高度不飽和脂肪酸が多い一般の魚類とは異なり、大部分がオレイン酸で植物油に近く、栄養価も高く毒性はないと言われています。

この油自体は有毒ではありませんが、この脂質を分解できない人は脂を消化できず、お腹を壊して下痢になってしまいますので、コレステロール値や中性脂肪が心配な方は、摂取を控えたほうが良さそうです。

なんと厚生労働省のページにはアブラボウズは肉は美味であるが、食べると肛門から油が滲み出るといわれている。」とあります。

食べすぎると消化不良を起こしたりするので、食べられる量は一食につき刺身の場合は60g(刺身は一枚でおおよそ10gから20g程度なので3切れ程度)、加熱調理されているもので120gまでが良いとされています。

ただし肝臓は食べないこと!良識的な範囲で食べるかぎり安全な魚とされています。

クエには及ばないが高級魚

クエはには及ばないものの、アブラボウズさんも高級魚として知られています。超高級魚とされるクエに外観が似ていることから、偽装事件もあったようです。

クエの好まれる理由は淡白で味わい深い白身にあり、一方、アブラボウズは脂の乗った甘みのある白身にあります。似てるのは見た目だけで、味は違います(笑)

大型魚なので、水揚げ後肝臓などを取り除いた後、2・3日寝かせてからが食べ頃なんだそうです。 調理法は一般的な白身魚と同様に煮付け、焼物、揚げ物、刺身などがいいようです。

食べ方については、こちらに詳しく載ってますのでどうぞ。

釣り方は?

太平洋側なら日本の至る所で釣れるようです。

釣る地域によっても仕掛けは変わってくると思いますが、基本釣法は底たたきという方法だそうです。

英語名はSkilfish

Skilfishはこの単語一言でアブラボウズの意味になります。

中国語名は白斑裸盖鱼

白斑裸盖鱼(bái bān luǒ gài yú)と読みます。白斑は白い版のある、裸盖鱼は銀鱈の意味です。ちなみに中国では銀鱈のことはスーパーなどでは裸盖鱼とは呼ばず、银鳕鱼(yín xuě yú)と呼んでいます。

その他、色んな国での呼び名はこちらをどうぞ!
Common Names List - Erilepis zonifer